『アメリ』の星を読む

2001年にフランス本国をはじめ世界中でヒットしたフランス映画『アメリ』。大学生だった私はフランス文化専攻でじわじわとフランスにかぶれて行きましたが、決定打となったのがこの映画。
当時の自分を振り返るととても恥ずかしいのですが、現実に立ち向かうアメリがまるで自分のことのようで(実際にはさらに妄想の世界にハマりこんで行ったにも関わらず!)すごく共感したものです。

射手座に月と海王星を持っている私は、現実と虚構とが混在する『アメリ』の世界観にますます引き込まれて、ついには卒論の題材に選ぶに至りました。
金星期も半ばを過ぎて、好きなものやワクワクすることに正直なる、選ぶということをようやくできるようになった時だったのかもしれません。

そして射手座幻想の本領発揮。思ったよりもマニアックな『アメリ』の世界観を構築する、映画史や文学、詩の世界にまで足を踏み入れることになりました。いやぁ、楽しかった!
ワクワクすることを中心にあちこち触手を伸ばしていくのは、今も大して変わっていないような気もしますが、星読みという軸で過去の出来事や好きだったものを見返してみるというのもとても興味深いものです。
元々の文章能力のなさや表現の方法を知らなさすぎたあの当時はやっと書き上げた卒論も、星読み視点を取り入れたらもっと充実した内容にできそうです。でも5ハウスのカスプは魚座なので、論理性には欠けること間違いなし。
完全に趣味の世界ですが、お楽しみいただけたら幸いです。
『アメリ』は内気な20代前半のパリジェンヌが自分の人生に踏み出す決意をするハッピーエンドの王道ラブストーリー。ですが登場人物はまるで一昔前の物語から飛び出してきたようなひとくせもふたくせもある人たちばかり。
ストーリーはとてもわかりやすいのですが、それに関係ない細かな要素も楽しめるのがこの映画。どこかノスタルジックなパリは本物でありながらCGで細かく加工してあったり、現代の物語でありながらお伽話のようであったり。本質はどちらかというとこの要素のほうにあります。
監督のジャン=ピエール・ジュネはアニメーション作家出身で、『アメリ』の前にはハリウッドで『エイリアン4』を監督したという経歴の持ち主です。
私はスプラッタは大の苦手ですが、卒論のために観ましたよ、エイリアン。エイリアンらしからぬ詩的な要素が盛り込まれていて、それが『アメリ』のお化け屋敷のシーンに引用されていたり、そういう細かいところを見ていくと、何倍にも楽しくなります。
ジュネのホロスコープを見てみましょう。ちなみに男性なのに「アメリは自分だ」という発言が有名だったのですが、ホロスコープを見て納得、太陽が乙女座です。
映画の冒頭は「1973年9月3日...」というナレーションで始まるのですが、ジュネの誕生日だったんだ...。この9ヶ月後にアメリ誕生、なので、アメリは6月生まれの双子座なのでしょう。乙女座と同じく水星が支配星です。
本来ならスクエアの乙女座と双子座ですが、ジュネの双子座には幸運の星木星が...アメリという主人公がいたからこそ成り立った(思い通りの作品に仕上がった)という発言然り、映画の興行的な成功をみても、双子座のアメリはジュネにとってのラッキースターにちがいありません。
ジュネの監督としての特質は乙女座水星にあるのでしょう。職人的で偏執的なまでのこだわりがあるからこそ。自分の描きたい世界を多くの人と関わり合いながら作っていく映画監督ってほんとうにすごい職業だなぁと思います。会社組織だって難しいのに...ただ、一つの作品を完成させるというゴールがあるのは会社とは違いますね。山羊座にカイロンがあって水瓶座ドラゴンヘッド、なるほど、まとめあげる力はあるけどキャリアを積むことがゴールではない、ジュネのスタンスが表れているようです。
『アメリ』を構成するのは、王道(獅子座)のノスタルジックなパリです。日本女性にヒットしたのはこの金星的な要素であり、ジュネが蟹座の月を持っていることも無関係ではないでしょう。無意識の欲求(月)が故郷や大衆(蟹座)とぴったりマッチした。殻を破って人生を変えるアメリの物語は、フランス映画史にも革命を起こしました(蟹座天王星)。

獅子座に冥王星を持つジュネは映画一筋でしたが、それまでのキャリア(冥王星蠍座時代)では暗く重苦しい世界観を描いていました。『アメリ』が公開された2001年は冥王星射手座時代。「これまでと180°ちがう作品」は、0か100かの冥王星っぽい転換です。ネイタルと同様に火星がコンジャンクションしているタイミングでもあったので、社会に打ち出したい欲求も高まっていたことでしょう。
プログレスの太陽は天秤座。調和という言葉もアメリのキーワードです。サビアンシンボルを読むなら「明るくなる影響の中にいる男」。ちなみにキャリアの初期のアニメーションや長編映画『デリカテッセン』『ロスト・チルドレン』はマルク・キャロという盟友とともに制作していました。天秤座に海王星と土星があるので、当初はタッグを組むことで夢を膨らませていた(海王星)けれど、障害もあって決別することになった(土星)のでしょうか。
この2つが頂点になって蟹座の月と山羊座カイロンとTスクエアを組んでいるので、ジュネ映画の社会的な成功とは誰とパートナーシップを組むかにかかっています。自分の才能やアイディアありきではなく、最終的には映画そのものや人をリスペクトするところもとても乙女座っぽい。

さてそのベタ褒めされてたアメリを演じたオドレイ・トトゥのホロスコープも見てみましょう。
どうでもいいんですが私にとってやっぱり大きなポイントになってたと思います、誕生日が一緒なんです。ちなみにムーミンの作者トーベ・ヤンソンも黒柳徹子も誕生日は同じなんですが、オドレイはサビアンシンボルも一緒なんです!
カイロンも入れると、月を含む固定宮のグランドクロスを持つ、なかなか静かに激しそうな人物像をイメージします。
獅子座には土星があり太陽も17°と、ザ・獅子座の派手なイメージではなく、演技派の実直な女優というイメージ。世代的にもどこか自分に自信が持てず(牡牛座カイロン)、個性重視(月水瓶座)で実力もあるけれど、真面目さゆえかなかなか大きなチャンスに恵まれていなかったのかもしれません(金星と木星スクエア)。
だけどジュネと出会った時にあらゆる歯車がぴったりと噛み合ったのでしょう。天秤座の冥王星はパートナーシップによる変容を示唆しています。
ジュネのドラゴンヘッドとオドレイの月は水瓶座にあり、世界を変える運命的な出逢いを思わせます。『アメリ』の次は『ロング・エンゲージメント』で今度は壮大なラブストーリーを描いて新境地を開拓、その後は追えていないのですが、ちょっと前にシャネルの香水No.5のCMをYoutubeで発見し歓喜!完璧にアメリ。

2001年のプログレスの太陽は乙女座10°で、なんとジュネのネイタルの太陽と一緒です!「アメリは私だ」というジュネの言葉は言いすぎではなかった。
プログレスの月は4ハウス=蟹座的な場所にありソーラーリターンのMCは蟹座。大衆的な人気と成功を示唆していそうですね。

運命のいたずらと星の符号がおもしろすぎます。

Atelier Soleil

「私らしさってなんだろう?」 
2020年に星読みと出会い、その問いに答えを見出すべく日々星と向き合う中で、 少しずつ見えてきたことをシェアしています。 自分らしい輝きで人生をクリエイトしていこう。 « アトリエ・ソレイユ ~太陽のアトリエ ≫ という名前には そんな想いを込めています。

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